外国人対応者・
市民ボランティアのための
情報箱

#037 2024年度の専門家相談の年間報告から感じる、「みんなで問題を整理」する事の大切さ

こんにちは! 専門家相談コーディネーターの青柳りつ子です。

東洋大学福祉社会デザイン学部教授 南野奈津子さんからの投稿記事を掲載します。

南野さんにはCINGAの「外国人対応者のための相談室」のアドバイザーを務めていただいています。寄せられた相談の中で特に、福祉、児童に関わる複雑なケースについて事例を検討し、より良い対応につなげていくことを目指しています。


2024年度の報告をみてみると、在留資格に関する相談が一貫して多い状況にある、ということに加えて、福祉問題、労働問題などの相談も増加していることがわかります。

例えば「病気になった」という場合は、病院で治療して問題は解決され、仕事も数日欠勤する、という事で解決されます。そして、病気になったという事のみで外部の相談機関に行く人はほぼいないと思われます。

しかし、問題の内容やその人がおかれた環境によっては、ある問題を抱えることが他の問題を自動的に抱えさせるメカニズムにおかれることがあります。これが、外国人は多いのです。例えば病気になって欠勤した、という場合、治療に加えて、留学生の場合生活費がなくなる、生活費を切り詰める生活により体調を崩す、それで学校の欠席が増えた結果、「留学」の在留資格の維持にも影響が出てしまう、といったような形です。

こうなると、病気、困窮、学業、在留資格、と問題が増殖していくことになります。その状態になってから相談機関につながるので、対応者も「ええと、どこから手を付けようか」と悩んでしまう事が少なくありません。

弁護士相談の紹介動画「動画で紹介 弁護士さんにインタビューの巻!」のなかで、弁護士さんが「いっしょに問題を仕分けしていく」とおっしゃっています。専門家相談では、この「仕分け」をみんなでやる、という事はとても重要です。一緒に問題を整理し、対処すること、あまりエネルギーをかけても効果はないと思われること、早く対応したほうが良いことを、在留資格に詳しい専門家からアドバイスを得ながら一緒に確認することで、先の見通しを立てやすくなります。

このプロセスを経ると、実際にはまだ問題は解決していなくとも、相談に来た外国人の表情が和らぎ、相談対応者もほっとされた様子となる場面にも出会ってきました。その心境になることも、問題解決ではとても大事です。

ということで、まずは一緒に状況整理、から始めませんか。


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