専門家による相談 2024年度実施報告

CINGAが実施する専門家による相談

専門家による相談事業として、2つの事業を実施しています。事業詳細 ⇒ https://www.cinga.or.jp/consultation/

① 外国人のための遠隔無料専門家相談会(以下、専門家相談会)
CINGAの専門家相談会は、2012年度から形を変えながら実施して2024年度で12年目になりました。

当初は対面で行っていましたが、コロナ禍の2020年度以降から現在まで、オンラインで行っています。外国人問題を専門とした弁護士や精神科医、行政書士、臨床心理士、社会福祉士などの専門家が相談を受け、必要な場合には通訳も無料で付けています。

下の②の「外国人対応者のための相談室」で受けた相談の中で、専門家につなぐ必要があるケースについて予約制で実施、弁護士相談は月2回(4枠)、その他の専門家による相談は随時行う方法としました。

こうしたオンラインでの実施の他、代々木公園で開催されたベトナムフェスティバル(Reports)とインドネシアフェスティバル(Reports) に出店して、弁護士・行政書士、通訳者が対面でも相談会を行いました。

② 外国人対応者のための相談室 (以下、相談室)
この相談室は、全国の国際交流協会や社会福祉協議会、保健所、児童相談所、役所、行政機関などで外国人に対応する職員や相談員の相談先です。つまり、支援者への相談窓口の役割を持っています。
在留資格の正確な知識を確認したいときや、本当にこの対応でよいのだろうか?といった現場での疑問や悩みを相談できます。相談に対応するのは行政書士・社会福祉士です。予約は不要、週に3日実施しました。

2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)にこの二つの事業で対応した相談の統計を下記にまとめました。


■ 相談ケース数

2024年度に相談を受けたケースの数は195ケースでした。1つのケースで複数回の対応を行うことも多く、対応した数は292件でした。

対応した数の内訳は、上記①の専門家相談会で行った弁護士による相談が41件、行政書士が32件、臨床心理士が3件でした。 ②の相談室で行った行政書士・社会福祉士による相談対応数は216件でした。

■ 相談当事者の出身国籍・地域

当事者の出身国・地域は、以下のグラフの通りです。ベトナムフェスティバルに出店していることからベトナム出身の方に関する相談が一番多く、その次に、近年増えているネパール、中国と続きました。


2024年度 専門家相談で対応した当事者の国籍・地域

■ 相談元の窓口

多言語で対応している国際交流協会や外国人相談の窓口の相談員や職員の方からの相談が一番多くありました。また、福祉・保健関連の機関として、行政の生活困窮窓口や児童相談所、子ども家庭支援センター、社会福祉協議会、保健所などから、複数の課題を抱えた複雑な相談を多く受けました。その中で、難民申請中の方の生活困窮や妊娠・出産、子育ての課題についての相談も複数件ありました。

相談の入り口は在留資格や法律的な問題に関することでも、その背景に言葉や文化の違いに悩む職員さんや相談員さんが手探りで対応している様子も見受けられました。

こうした必ずしも答えがない相談についても、外国人当事者やその家族にどう対応するのかを一緒に考えました。

2024年度 相談元の属性

■ 相談テーマ別

在留資格の種別や入管の手続きに関する相談を一番多く受けました。例えば行政機関が支援を考える際に外国人当事者が持つ在留資格の種類によってどのような制限を受けるのか、どこが限界なのかを知ることで、他の選択肢を検討するなど、支援計画を立てる上で在留資格は非常に重要な要素となります。

弁護士相談で多かった相談は、離婚、養育、労働問題などのご相談でした。

2024年度 相談テーマ(対応件数)


2024年度も全国、北から南まで、様々な機関の方々からご相談を受け、弁護士や行政書士、臨床心理士などの相談につなげることができました。

外国人が地域の国際交流協会や福祉・保健機関につながることが増えていると肌で感じています。それに伴い、そこで対応する職員や担当者の方々が、時には手探りで試行錯誤しながら対応されている様子がうかがえました。

そうした現場で対応する方々が、その機関の専門性を外国人の対応を行う際にも発揮されるよう、CINGAのこの専門家相談の相談窓口を使っていただけたらと思います。

2025年度も引き続き、外国人対応者のための相談先として、全国からご相談を受け付けています!

青柳りつ子

https://www.cinga.or.jp/consultation/