Support-Ukr 2022年度 実施報告

CINGAは、ウクライナ避難民向けの相談センター「ウクライナ語の心のよりそい電話(Support-Ukr)」を2022年7月4日から2023年3月31日まで開設し、無料でウクライナ語とロシア語により相談を受け付けました。本事業は日本財団「ウクライナ避難民支援 助成プログラム」の助成を受けて実施しました。

相談センター概要

■ webサイト https://www.cinga.or.jp/2912/

■ チラシ こちら

■ 開設日時 毎週火曜日と木曜日 10:00-12:00

■ 相談対応者 ウクライナ人心理士

■ 対応言語 ウクライナ語、ロシア語

■ 相談手段 電話、WhatsApp、Telegram、Messenger

目的

  • 母語による傾聴を通じて、ウクライナ避難民の日常生活から漏れ出てくる心の声をきき、顕在化していなかった悩みや問題の整理を行う。

・日常生活の不安や、在留資格の問題、日本のルール、住居問題、法律問題などに関して、正確な情報提供を行うとともに、必要に応じて心理士による予約相談や、CINGAが実施する専門家相談(弁護士、精神科医、行政書士)、ネットワークを通じた他団体につなげる。

実績

■ 相談センター開催日数 64日(1日2H)

■ 相談者数 73人

■ Facebookフォロワー数 230フォロワー

■ ワークショップ参加者数  ウクライナ避難民延べ43名、日本人10名

CINGAが実施する専門家相談につないだケース 弁護士相談 4件

実施報告

  • 来日方法やサポート・プログラムの情報に加え、教育、法律、人間関係、住居、申請手続き等、心の相談の背景となりうる様々な相談が寄せられた。
  • 相談の心理的ハードルを下げるため、Facebookで情報提供をした。Facebookは運用9カ月で230名(日本に避難しているウクライナ人約2300名の約10%の数に相当)のフォロワーに達した。
  • 連携先として、なんみんフォーラム、難民支援協会、行政書士会で実施するウクライナ避難民向けの在留支援、CINGAが実施する専門家相談と避難民生活相談センター(Support-R)、ほか支援団体にもつなぐなど、課題解決に向けて適切な団体につなげることができた。
  • ウクライナ避難民向けに行った日本語教育ワークショップでは、日本語使用機会の創出と動機づけ、主体性を持った活動参加意欲の向上、さらには副次的効果としてリラックス効果やストレス解消といった感想が寄せられ心理的に安心な状況を作ることができた。来年度以降も活動を続けるために携わりたいという声もあり、エンパワメントの機会となった。レポートはこちら
  • メディア取材や地方自治体等からの視察を受けたり、笹川平和財団でのシンポジウム(登録参加者250名超)で成果を報告をした。また、東京都が実施するウクライナ避難民連携フォーラムにも登壇するなど、ウクライナ支援に関わる自治体、国際交流協会、NPO、市民団体、個人支援者等へ実情を届けることができたと考える。

活動を終えて

2022年春の情勢の変化を受け、今まで在留外国人相談に対応してきたCINGAができることとして、「ウクライナ語の心のよりそい電話(Support-Ukr)」を立ち上げることにしました。その少し前に立ち上げた「避難民生活相談センター(Support-R)」とともに、この2つの相談センターはCINGAが初めて避難民・難民に特化して対応する相談センターとなりました。

ウクライナ語の心のよりそい電話(Support-Ukr)は、相談者の居住地や状況を制限せず、ありとあらゆるテーマの相談を母語(ウクライナ語とロシア語)で受けました。さらに、相談のハードルを低くするために、WhatsAppやTelegramといったSNSでも受ける体制としました。結果、全国、海外から多岐にわたるテーマの相談が入りました。避難民特有の課題の中には難しい相談もありました。しかし、今まで全国の外国人を対象に相談対応をしてきた経験から、ネットワークを使ったり、つなぎ先に確認するなどして正しい情報の提供や解決に向けた対応に努めました。

今後、ウクライナ避難民の生活が落ち着いて生活課題が改善されたとしても、心の相談、メンタルのサポートの必要性は変わりません。さらに状況が長引くほど、精神的に影響を受ける人が増えると推測されます。

ウクライナ語の心のよりそい電話(Support-Ukr)は活動を終えましたが、この経験をもとに、CINGAが他の事業体で実施する外国人相談の中で受ける避難民への対応に役立つものと考えます。

メディア掲載

長引く日本での避難生活 不安、孤独…専門家「押しつけぬ支援を」(毎日新聞、2022年11月11日)https://mainichi.jp/articles/20221109/k00/00m/040/178000c

シンポジウムでの事例報告

笹川平和財団シンポジウム ウクライナ避難民受入の今-共生社会のあり方と教育の未来について(2023年3月7日)
https://www.spf.org/asia-islam/news/20230331.html

ウクライナ避難民支援連携フォーラム(2023年3月16日)
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/chiiki_tabunka/tabunka/tabunkasuishin/0000001803.html